建物とそれに位置する環境との一致をよりよく把握した上で設計をすることを大切にしています。
内部と外部、インテリアデザインと庭の風景の障壁を省き、建物という感覚なしに、スペースや中庭や庭園で景色の眺めを生かし、人ともののすべての環境を整えることを大切にしています。
建物は本来省いてはいけない要素が総体としてまとまっているもの(=普遍性のあるもの)であり、体感という指標を大切にすることだけで節約しようと言わなくても環境に優しいものであり、健康な人がより健康により幸福に生きるためのものとして、「生命の科学と知恵(アーユルヴェーダ)」のような心と体が一体になるような広い意味での「持続可能な建築」でなければいけません。
「自己治療の科学」の古い文献からこんな言葉があります。
「食事に気を配る人には薬はいらない・食事に気を遣わない人にも薬はいらない。」
つまり、食習慣が正しい人はおのずと健康になるが、食習慣が正しくない人はいくら薬を使って治療しても根本解決にはならないということを語っています。
これは建築(=住まい)に置換えても言ることではないでしょうか。
住習慣が正しい人はおのずと豊かな生活と健康になるが、正しくない人はいくら見栄えがよい家に暮らしても精神や肉体の健康への根本解決にはならないと。
人にはそれぞれの異る体質があり、「休息」「食事」「運動」「心の持ちよう」の4つの観点からそれぞれの体質を考え、暮らし=空間が本質的なところで心地よい落ち着いたものになるように心がけています。
新堀和巳
写真は「ジェフリー・バワ」の建築。新堀和巳が撮影。